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南海トラフ地震関連解説情報

2024年1月11日17時00分


 本日(1月11日)開催した第75回南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会、第453回地震防災対策強化地域判定会で評価した、南海トラフ周辺の地殻活動の調査結果は以下のとおりです。

 現在のところ、南海トラフ沿いの大規模地震の発生の可能性が平常時(注)と比べて相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていません。
 (注)南海トラフ沿いの大規模地震(M8からM9クラス)は、「平常時」においても今後30年以内に発生する確率が70から80%であり、昭和東南海地震・昭和南海地震の発生から約80年が経過していることから切迫性の高い状態です。

1.地震の観測状況
(顕著な地震活動に関係する現象)
 南海トラフ周辺では、特に目立った地震活動はありませんでした。
(ゆっくりすべりに関係する現象)
 プレート境界付近を震源とする深部低周波地震(微動)のうち、主なものは以下のとおりです。
(1)四国西部:11月30日から12月22日
(2)東海から紀伊半島中部:12月22日から1月6日
(3)四国中部:12月23日から1月2日

2.地殻変動の観測状況
(ゆっくりすべりに関係する現象)
 上記(1)から(3)の深部低周波地震(微動)とほぼ同期して、周辺に設置されている複数のひずみ計でわずかな地殻変動を観測しました。周辺の傾斜データでも、わずかな変化が見られました。また、上記(1)の期間に同地域及びその周辺のGNSSのデータでも、わずかな地殻変動を観測しました。
 GNSS観測によると、2019年春頃から四国中部で観測されている、それまでの傾向とは異なる地殻変動は、最近は鈍化しているように見えます。また、2022年初頭から、静岡県西部から愛知県東部にかけて、それまでの傾向とは異なる地殻変動が観測されています。さらに、2023年初頭から九州南部で観測されている、それまでの傾向とは異なる地殻変動は、収束したと見られます。
(長期的な地殻変動)
 GNSS観測等によると、御前崎、潮岬及び室戸岬のそれぞれの周辺では長期的な沈降傾向が継続しています。

3.地殻活動の評価
(ゆっくりすべりに関係する現象)
 上記(1)から(3)の深部低周波地震(微動)と地殻変動は、想定震源域のプレート境界深部において発生した短期的ゆっくりすべりに起因するものと推定しています。
 2019年春頃からの四国中部の地殻変動、2022年初頭からの静岡県西部から愛知県東部にかけての地殻変動及び2023年初頭からの九州南部の地殻変動は、それぞれ四国中部周辺、渥美半島周辺及び日向灘南部周辺のプレート境界深部における長期的ゆっくりすべりに起因するものと推定しています。このうち、四国中部周辺の長期的ゆっくりすべりは、最近は鈍化しています。また、日向灘南部周辺の長期的ゆっくりすべりは、すでに停止していると考えられます。
 これらの深部低周波地震(微動)、短期的ゆっくりすべり、及び長期的ゆっくりすべりは、それぞれ、従来からも繰り返し観測されてきた現象です。
(長期的な地殻変動)
 御前崎、潮岬及び室戸岬のそれぞれの周辺で見られる長期的な沈降傾向はフィリピン海プレートの沈み込みに伴うもので、その傾向に大きな変化はありません。

 上記観測結果を総合的に判断すると、南海トラフ地震の想定震源域ではプレート境界の固着状況に特段の変化を示すようなデータは得られておらず、南海トラフ沿いの大規模地震の発生の可能性が平常時と比べて相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていません。




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  • Posted : 2024/01/11
  • Published : 2024/01/11
  • Changed : 2024/01/11
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